塵の風が吹きつける
  赤土の荒れ野に いつか
  清浄な雪のひとひらが
  舞い降りますよう

  畸形の草がまばらに生え
  重油の池が毒を放つ
  このみじめな地を どうか
  真白く覆ってくださいますよう


やがて
  空をおしかくす厚い雲が晴れ
  澄みわたる夜の闇のなかで
  月の光がさやかに降りそそぎ
  雪の原がいちめん 銀色に輝くとき

そのときこそ
  大地を満たす すべての
  きたないもの 悪しきものが
  洗い清められ
  ねたみや怒りや悲しみや疑いが
  うつくしい氷のかけらへと
  うまれかわりますように