生命の水(アクア・ウィタエ)の海をゆく
天に金いろの穴があいて
おれを誘っている
波をかく手のなんと重いことか
はやくこの水を吞め
神経をいかれさせてしまえ

生命の水(アクア・ウィタエ)の海のなかで
エラ呼吸しろ
人間であることなど忘れてしまえ
二本の足をありがたがっても
たいした得にはならないさ
月明かりが皮ふを溶かせば
おれはみごとな水かきを得る

この世でもっとも生きる価値のない夜を
すっかり吞みつくしてしまえ

生命の水(アクア・ウィタエ)の海に溺れて
すべてなかったことにしよう
今日うけた傷の痛みも
あす身を裂く刃の熱も
アルコホォルの血が流れれば
どんな罪でも赦してしまう
そのほうがずっとしあわせだ
ああ おれはしあわせだ


黄金いろの波にゆられて
もう名前もおもいだせない
このまま月明かりに溶けて
おれはまったくウヰスキィになる

ああ おれはしあわせだ
ほんとうに しあわせだ